匠のリフォーム

第9回本当に住み心地のよい家とは?(概論編)

中西 ヒロツグ(イン・ハウス建築計画 代表 一級建築士)

本当に住み心地のよい家とは?(概論編)
第3回 リノベーションの3か条

 古い建物を生かしたいからと言っても、すべての家がリノベーションに適しているわけではありません。残念ながら、建て替えたほうが良い家も少なからず存在します。何も築年数が古いからダメと言うわけではなく、建物の価値や劣化状況など、様々な条件を勘案して、建替えかリノベーションかを判断することが重要です。

 そこで私は、リノベーションのご相談をいただいた際に、まず3つの条件についてお話ししています。「リノベーションの3か条」、つまりリノベーションをしたほうが良い家の条件です。

1つめは法的な条件

 1つめは法的な条件です。建築基準法では一部の例外を除いて、建物の敷地は道路に2m以上接していないと建てられません。住宅密集地などでは、これが確保できずに建替えが認められないことがあります(再建築不可)。

また、家が建った後に建ぺい率や容積率、高さ制限などの基準が改正されたことで、建替えようとしても同じ規模の家が確保できないことも少なくありません(既存不適格)。他にも、借地などで建替えが認められないこともあります。この場合は必然的にリノベーションを選択することになるでしょう。

1)道路に面さない借地のリノベーション

2つめは心理的な条件

 2つめは心理的な条件です。例えば古民家や歴史的建造物など、残すべき価値がある場合です。そこまでではなくても、家族の歴史や思い出を残したい家の場合も当てはまります。そのような思い入れのある家は、ぜひリノベーションで引き継いでいきたいものです。

2)歴史ある佇まいを残してリノベーション

3つめは物理的な条件

 3つめは物理的な条件です。雨漏りやひび割れ等の劣化が少なく、屋根・外壁・構造など、活かせる既存部分が多ければ多いほど、費用対効果の高いリノベーションが可能です。構造的には1981年以降の新耐震基準に則った構造かどうかがひとつの判断基準で、それ以前の旧耐震基準の場合は、耐震補強や機能回復のウエイトが大きくなり、建て替え以上にコストが掛かることもあります。

3)健全な下屋部分に2階を増築

 これらの条件のいずれかに当てはまる場合は、リノベーションをお勧めしています。逆にどれにも当てはまらず、単に予算的な制約だけでリノベーションを考えている方には、むしろ建替えを推奨しています。
 リノベーションでは、想定外の費用がかかることもしばしばあります。計画を進める前に、リノベーションの意義を見出すことが成功のカギと言えるでしょう。

中西ヒロツグ(なかにし ひろつぐ)氏

匠の紹介:中西ヒロツグ(なかにし ひろつぐ)さん

イン・ハウス建築計画 代表 一級建築士

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